メチルグリオキサール

メチルグリオキサール(Methylglyoxal)について

メチルグリオキサール(Methylglyoxal)は1960年代、ハンガリー人セント=ジェルジ・アルベルト(Szent-Gyorgyi Albert)によって発見されました。彼はビタミンCの発見と壊血病研究によって1937年ノーベル生理学・医学賞を授与されています。また、ビタミンPとイソフラボンの発見者としても有名です。細胞メカニズムの研究でも名高く米国マサチューセッツ研究所での筋肉研究分野でも功績を残しています。

彼は1963年にメチルグリオキサールとプロミンを発見し、この2物質はケトアルデヒドと呼ばれ、それぞれ相反する作用を持ちメチルグリオキサールは細胞増殖抑止として働き逆にプロミンは細胞成長促進を亢進させる作用がある事を発見しました。
メチルグリオキサールは解糖系の側枝(上図FDP→DHAP→メチルグリオキサール)によって産生されます。解糖系とはほとんど全ての生物に共通し存在する糖の代謝経路で、食物より得た高エネルギー物資グリコースからエネルギー源としてのATP*adenosine triphosphateアデノシン三燐酸)を作り出す最初の段階を言います。メチルグリオキサールについて京都大学大学院農学研究科によれば次のような所見が述べられています。“解糖系は生物種を超えて普遍的なエネルギー生産系です。その解糖系からメチルグリオキサールという物質が生成します。メチルグリオキサールは解糖系から生成するにもかかわらず、あらゆる細胞の生育を阻害してしまいます。なぜそのような物質が、しかも解糖系から生成するのかについては長年の謎となっています。”
その解糖系からメチルグリオキサールという物質が副産物として生成されますが、上図のようにメチルグリオキサールは酵素GlyoxylaseⅠとⅡ(上図緑字)によって解毒され、Pyruvate(ピルビン酸)に換えられTCA cycle(酸素を利用したATP産生過程の回路、クエン酸回路とも呼ぶ)に向かいます。

メチルグリオキサールはケトンとアルデヒドの両方の性質を持ち蛋白質を変性させてしまうことから強い抗菌活性作用を持っています。ジェルジ・アルベルト博士の研究ではメチルグリオキサールの役目として生物体の全細胞、ヒトでは約60兆個の細胞から成り立ち、生きて行くには常に新細胞を作り続けなければなりません。新細胞を作るためにはもとの細胞のDNAをコピーして新細胞が生まれます。この段階でコピーミスや細胞分裂に関連し遺伝子が外部攻撃を受けるなどDNAの損傷によって異常細胞(発がん性細胞)が発生すると考えられています。こうした細胞に対しメチルグリオキサールはアポトーシス (apoptosis)を誘導する役目を果たしていると発表しています。
アポトーシスとは、多細胞生物の生体を構成する細胞の死に方の一種で、身体の恒常性維持(生体が環境の変化に対応して、内部状態を一定に保って生存を維持する現象)のため積極的に引き起こされる、管理、調節された細胞の死、すなわちプログラムされた自殺死です。正常な細胞はそれぞれの細胞が身体にとって有益な機能を保持し、細胞分裂の回数もその機能に合った有限の分裂回数で成り立っています。古くなり、或いは病原体などによってダメージを受けそれぞれの機能を果たせなくなった細胞は、排除する事で生体の恒常性を安定的に保っています。それらは身体にとって有益な機能を果たさない、または、古くなって本来の機能を失い、しかも排除されることもなく無制限に分裂する異常細胞(発がん性細胞)などを指します。こうして常に恒常性を維持するため細胞のアポトーシスを誘発し細胞コントロールの役目を担っている物質がメチルグリオキサールであるとされています。ストレスや加齢によりメチルグリオキサール産生が低下するとあらゆる疾患の起因となる可能性が増大します。糖尿病患者には体内での産生不足によるインスリンの外部投与によって病状を軽減するのと同じようにメチルグリオキサール産生の低下状態にあるときは外部からのメチルグリオキサール供給が重要であるとジェルジ・アルベルト博士は結論付けています。

全ての病気は細胞の異常死が原因となり、それが組織、器官、内臓の損傷となり発生するとされています。これらは前述のようにアポトーシスにおける細胞核だけが破壊され、細胞の縮小化が進みやがて死に至るのとは大きく異なります。アポトーシスは正常細胞への悪影響が無いプログラム化されたものです。つまり、細胞の縮小化によって他の細胞に迷惑がかからないように消えてゆく死滅を言います。そのためには死後の細胞は白血球などが処理し易いような形に誘導されます。一方、細胞膜を傷めその内容物によって周辺細胞にダメージを与えたりする病気や事故などあらゆるストレスによって起こる細胞の死をアポトーシスに対しネクローシスと呼ばれます。細胞全体が外力によって起こる壊死を意味します。この場合、酵素をはじめ、様々な物質が死滅した細胞から飛散し周辺の細胞に大きなダメージを与えてしまいます。従ってネクローシスはアポトーシスに見られる精密に制御されたものとは全く異なります。

アポトーシスによる細胞の死は新陳代謝として、新しい細胞再生を促します。この時点で重要となることに、死んだ細胞が排除されないと再生が起こらない事から新陳代謝が順調に進行しません。治癒システムの本体は、正に死んだ細胞や細菌・ウイルスなどの病原微生物や異物を分解・排除する機構であると考えられています。死んだ細胞や異物など不要物をいち早く排除し、新たな細胞の再生を促すことにより、組織、器官、内臓を修復することで結果的に様々な病気を治します。この自然治癒力の本体がメチルグリオキサールであると示唆され、排除作業の機構を担うのがマクロファージ(食細胞)です。日常のストレスや加齢などにともなってメチルグリオキサールやマクロファージの活性度が低下することは、いたしかた無い事ですがメチルグリオキサールの摂取によってマクロファージの活性化が多いに昂進され全ての細胞に対し発がん性阻止などが考えられています。

メチルグリオキサールについての詳しいことは現在やっと研究が盛んになったところで不明な点が多く残されていますが恒常性維持に大きな役割を担っていることは否定できない重要な物質であるといえます。化学薬剤の抗生物質・抗ウイルス剤・抗がん剤などとは全く異なる作用機序(作用メカニズム)による強い抗菌・抗ウイルス・抗癌活性など恒常性維持機能を担う物質として今後大いに注目をされる研究分野と言われています。

*ATP(adenosine triphosphate)はアデノシンという物質にリン酸基(P)が三分子結合したアデノシン三燐酸で、生きている細胞内には必ず存在する物質です。この結合は高エネルギーリン酸結合とよばれます。ATP分解酵素の働きによってこの結合が切れるときにエネルギーを放出し生体内の様々な反応に利用されます。 つまり、加水分解によってアデノシン三燐酸が1つのリン酸を放出しアデノシン二燐酸になる段階でエネルギーを出す物質です。全ての生物のエネルギー源となり、どこでも利用できる事から化学エネルギーの通貨とも呼ばれます。 ATPは主に解糖系の酵素GA3PD(Glyceraldehyde 3-Phosphate Dehydrogenase)やミトコンドリア内のクエン酸回路・電子伝導系のATP合成酵素などで作られます。人体では糖質(炭水化物)などが肝臓や各消化器官でグルコース(ブドウ糖)に変換されます。その後、血流に乗って運ばれたグルコースはインスリンにより細胞に取り込まれて解糖系・クエン酸回路・電子伝導系などでATPが作られエネルギーを得ています。

活性マヌカ生蜂蜜とメチルグリオキサール

メチルグリオキサールはどのような食品でも普遍的に存在します。食品中に含有するメチルグリオキサールは通常最高でコーヒー、ココアなど40mg/kg程度ですが弊社新製品の活性マヌカ生蜂蜜ストロングマヌカハニー【活性強度39+】【1100+】にはその30倍にあたる1186mg/kgが含有されています。この含有量は他の食品には全く見られない驚異的な数値です。
メチルグリオキサールの産生はマヌカ木花蜜中に含まれるジヒドロキシアセトン(dihydroxyacetone)が37度℃近辺の温度で徐々にメチルグリオキサールに変化していきます。ジヒドロキシアセトンはメチルグリオキサールの前駆体であり、つまり、メチルグリオキサールを生成する前の段階の物質であることが近年確認されています。従ってメチルグリオキサールそのものは元々、マヌカ木花蜜中に含まれるものではなくミツバチがマヌカ花蜜を採取した後巣箱内の環境下で産生されます。

マヌカ蜂蜜が出来るプロセスはミツバチ(働き蜂)のマヌカ木訪花によってミツバチの蜜胃と呼ばれる部位に採取した花蜜を詰め巣箱に持ち帰った働き蜂が巣箱内の内勤蜂に口移しで引き渡されます。その後、内勤蜂は働き蜂から受け取った花蜜を蜜胃から吐き出し、ミツバチの唾液中の酵素と混合しブドウ糖と果糖の単糖状態に転化します。それと同時にミツバチの体熱と羽根でまき起こす旋風によって水分を蒸散させ糖度80%以上の完熟ハチミツとして貯蔵します。このように高糖度にする目的は食料保存として安定度を得る、つまり、発酵などによる変質防止のためです。
花蜜の脱水過程で体熱によって37から39℃の温度で加温される段階で前述のマヌカ花蜜中のジヒドロキシアセトンがゆっくりとメチルグリオキサールに変化してゆきます。このメカニズムについては興味深い報告があります。ジヒドロキシアセトンがマヌカ花蜜のように含有されない、または含有量が非常に少ないクロバー蜂蜜などにマヌカ花蜜中のジヒドロキシアセトンを注入し加温するとメチルグリオキサールが生成されます。マヌカ蜂蜜以外の他の蜂蜜にはメチルグリオキサールはほとんど含有されていませんのでこれによってメチルグリオキサールの前駆体がジヒドロキシアセトンであることが説明できます。従ってマヌカ花蜜中には他の花蜜に無いジヒドロキシアセトンが多量に含有された唯一の花蜜といえます。マヌカ木花蜜中のヒドロキシアセトンからメチルグリオキサールが合成される反応メカニズムはまだ明確には解明されていません。

メチルグリオキサールの学術的関心は非常に近年高まっています。ハンガリー、ブタペストのセンメルワイス総合医科大学ではメチルグリオキサールの作用メカニズムについて、その作用は依然謎とされていますが、細胞増殖上必要なエネルギー通貨であるATPを作るための酵素群(最上段、図の解糖系の酵素GA3PD(赤字)やミトコンドリア内のATP合成酵素など)の活性を阻害し細胞を死滅さす働きがある事が確認されています。従ってメチルグリオキサールは癌細胞への抗癌作用が期待でき、実際にカルカッタにあるインド生化学研究所マンジュレイ教授 *2は末期ガン患者に適用して19名中11人が救命でき現在5名が安定した状態で治療中、3名が死亡したとの報告がされています。

このようにメチルグリオキサールについては異常細胞や有害菌類に対し毒性を示し正常細胞や有用菌類などには毒性が無い事は唯一の産地であるニュージーランドのマヌカハニーの民間療法としての長い年月からも実証されています。これらの作用機序(作用メカニズム)についてはまだ充分に解明するに至っておりませんが、メチルグリオキサールの毒性は正常細胞が産生する酵素グリオキサラーゼGlyoxylaseⅠとⅡ*3によって無毒化されます。しかし、有害菌類はメチルグリオキサールの解毒に必要な酵素グリオキサラーゼの産生が充分でないためメチルグリオキサールの無毒化が出来ず、なおかつ解糖系でのATP産生の酵素GA3PD(Glyceraldehyde 3-Thosphate Dehydrogenase)はメチルグリオキサールによって不活性化されることも、増殖や生命維持に必要なエネルギーを得ることが出来ず死滅に至ると示唆されています。 このようにエネルギー通貨としてのATP産生が阻害される結果、癌細胞や有害菌類のエネルギー枯渇によって死滅していくという事実が明らかになってきました。従って抗菌薬の代表的存在である抗生物質や一部の抗癌剤などの作用メカニズムとは全く異なる為、薬剤によって出現した耐性菌・耐性細胞にも関連性がなく、それらの死滅に期待できる事になります。(実際に弊社顧客様で2度に渡る抗生物質によるピロリ菌除菌に失敗した薬剤耐性菌についてもマヌカハニーで除菌できた症例が多くあります。)
また、悪性腫瘍など癌細胞は特に正常細胞と比べ増殖が非常に盛んなだけエネルギーを必要とし、こうしたエネルギー(ATP)産生機構をメチルグリオキサールによって阻害する事でアポトーシスを誘導さす働きに期待が出来ます。つまり、解糖系などにおいてATPが産生されますがそれには酵素GA3PDの活性が必須になります。メチルグリオキサールはこの酵素GA3PDの活性を阻害し不活性化された癌細胞は増殖に要するエネルギーを得る事が出来ず結果的にアポトーシスをメチルグリオキサールによって誘発され死滅する事になります。

また、つい最近になって注目すべき事に胃・大腸・前立腺ガン細胞や発がん性細胞など多くの悪性腫瘍部位には抗がん剤に感受性がない抗がん剤耐性の多剤耐性蛋白質で抗がん剤の誘導するアポトーシスに対し抵抗性を示す細胞株があります。これらの悪性腫瘍の細胞株はグリオキサラーゼI(GLOI上図参照)が過剰発現していることが確認されています。この酵素グリオキサラーゼI によって発がん性細胞はメチルグリオキサールの毒性から自身をプロテクトしていると考えられています。従って、グリオキサラーゼⅠの活性を阻害する事によってガン細胞や発がん性細胞はメチルグリオキサールに感受性を示す事になりアポトーシスを誘発し自ら死滅していくことからグリオキサラーゼⅠ阻害薬つまり、新規抗癌剤の開発が進められています。そして、ガン細胞や発がん性細胞において細胞内で作られるグリオキサラーゼⅠの産生は自身が産生するメチルグリオキサールの解毒であり、必要以上のグリオキサラーゼⅠの産生は発がん性細胞にとってフィットネスコスト(発がん性細胞が生きてゆくためのコスト)が高い事になります。つまり、一定以上のグリオキサラーゼⅠの産生はないものと示唆されます。

このような事から天然に存在するメチルグリオキサールの外部多量投与によってガン細胞や発がん性細胞はその無毒化に対応するグリオキサラーゼⅠを産生できずアポトーシスを誘発する可能性が充分示唆されます。この事は活性マヌカ生蜂蜜の強い抗菌活性力においても同様であり病原菌類も細胞であり蛋白質であるからです。

また、米国Joseph F. Borzelleca博士による下記の報告があります。
Animal studies have shown no toxicity from oral administration of physiologic doses of methlglyoxalーin fact, one study showed that pretreatment with methylglyoxal prevented gastric damage in rats that were subsequently administered caustic agents (Al-Shabanah O. Inhibition of gastric mucosal damage by methylglyoxal pretreatment in rats.

動物実験ではメチルグリオキサールの経口摂取からは有毒性が見られず、実際、一研究で前もってメチルグリオキサールを投与したネズミはその後、消化器に対する刺激性物質(caustic agents=腐食性剤・強いアルカリ物質)を与えても消化器にダメージを起こさなかった。
2000年発行の書籍Joseph F. Borzelleca 著「食品と化学物質の毒性学」より

このようにメチルグリオキサールは消化器粘膜に対しての外的刺激に対するプロテクトと修復作用が学術的に認知されつつあります。
結論としまして他の食品と比べ突出し驚異的なメチルグリオキサール含有量を活性マヌカ生蜂蜜中に見出すことができます。この特殊な蜂蜜を食品として摂取する事により基本的な健康維持に極めて有効であり、且つ、重大疾患の治癒・予防に至るまでこの蜂蜜の効果に大きな期待を寄せる事が出来ます。そして、特記すべき事に活性マヌカ生蜂蜜は抗生物質を代表とする人工の抗菌剤や抗癌剤などの重大な欠陥である副作用や耐性菌出現の問題などについて全く関連が無い事です。

弊社ストロングマヌカハニーの抗菌・抗ウイルス・抗発がん性物質のメチルグリオキサールは非常に優れた選択性を備え有用菌と有害菌・病原菌・異常細胞を区別できるところが化学薬剤と天然の活性物質が異なるところです。

一方、腸内細菌バランスを整えることは薬剤では困難です。 健康への基本は腸内細菌叢(腸内細菌バランス)の改善に尽きます。 とりわけ腸管は単なる消化機関のみならず人体の免疫機構の70%が集結する事が近年明確になってきました。
また、神経系統・ホルモンなど内分泌系の調節機構とも大きな関連性があり、特に弊社顧客様のご報告として自律神経失調症の改善に即効的な結果がご報告されています。 また、更年期におけるホルモンの失調や慢性的な自律神経失調症に大きな期待が頂けることも多くの顧客様のご報告より確信に至っております。

古くからニュージーランドの先住民マウリ族の間でマヌカ樹の持つ活性作用が民間薬として使われてきました。弊社のストロングマヌカハニーやストロングマヌカオイルもそうした親から子に伝えられてきた民間薬の一つです。

例えば製薬会社が新薬を開発し安全性を確かめる為、長期にわたり膨大な資金を投入して開発から臨床テストに至るまで安全性が確認されたものだけが薬剤として認可されます。一方、民間薬は古来からその優れた効果と安全性をもったものだけが残り伝えられて来ています。
それは民間薬として非常に長い年月にわたり多くの経験から判断されたもののみが親から子に伝えられます。何百年もの間、広い地域で民間薬として使われてきたものは、その効能や安全性がたくさんの人によって確かめられてきた帰結として存在します。極論ですが人体実験はとうの昔に実証済ということになります。

人間は蜂産品を太古より薬として利用してきました。経験的な効果効能が先行して学術的なことが非常に遅れてついてくるといった典型的な産品の一つです。ストレスの多い現代社会を生きるにはミツバチの『知恵の結晶』を利用する事で自然との融合が可能となるのではないかと思っております。そのような事より弊社では大規模養蜂とは異なった、できるだけ人工的な飼育方法を避け、自然に任せた養蜂による蜂産品の採取を心掛けております
1995年よりマヌカハニーをご提供し多くの顧客様のご報告をはじめ、今までの経験から弊社製品が健康維持に効果的に働き、人間本来の持つ治癒力で早期に好結果が得られ、また、広域な体質改善にもお役立てできるのではないかと確信しております。どうか天然の活性物質を上手にご利用いただき重大疾患の治癒・予防から日々の健康維持に至るまで幅広くお役立て頂ければ幸甚に思っております。

*2Professor Manju Ray;
Department of Biological Chemistry Indian Association for Cultivation of Science Jadavpur, Kolkata
"For his noteworthy discovery of pathways and developing lead molecules for cancer therapy"
【教授の功績は分子⇒メチルグリオキサールをガン治療の応用に導いた】マンジュ・レイ教授が率いる研究グループの発表によるとガン細胞における解糖系およびミトコンドリア内においてATP 産生に必要な電子伝導系の呼吸がメチルグリオキサールによって阻害され、一方、正常細胞はメチルグリオキサールの高い濃度においても阻害されない事を確認しました。
*3グリオキサラーゼI は、メチルグリオキサールとグルタチオンからS-D-ラクトイルグルタチオンを生成させる酵素です。その後、S-D-ラクトイルグルタチオンはグリオキサラーゼⅡにより乳酸へと代謝されます。メチルグリオキサールは解糖系の代謝副産物ですが、反応性の高いジカルボニル化合物であることから、タンパク質、DNA、RNAを非可逆的(元に戻す事が出来ない)に修飾(分子生物学では”変化”の意)し、細胞死(アポトーシス)を誘発します。従ってグリオキサラーゼは細胞内で毒性の強いメチルグリオキサールを乳酸へと無毒化する役割を担っています。

文責: 辻  重

引用文献:
“メチルグリオキサール代謝と浸透圧ストレス応答”京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻 分子細胞科学講座エネルギー変換細胞学分野  http://www.molmicrobiol.kais.kyoto-u.ac.jp/yeast/resmain.html

参考文献:
1)“抗がん剤耐性の分子標的と克服へのアプローチ”東京大学分子細胞生物学研究所分子生物活性分野 
鶴尾 隆 冨田 章弘 坂本 洋
2)“Dー乳酸を生ずるメチルグリオキサール経路の生理化学的意義” 岡山大学学位論文要旨 
岡山大学大学院自然科学研究科 薬学博士論文
3)“グリオキサラーゼI活性を阻害するアポトーシス誘導剤”株式会社理論創薬研究所 
田沼 靖一 吉森 篤史 特許出願番号 特願2004-282855
4)“血管内皮細胞におけるメチルグリオキサール誘導アポトーシス”, 薬学雑誌, Vol. 128, 1443-1448 (2008) .高橋 恭兵, 立浪 良介, 丹保 好子,
5)“MRSAとは”平松 啓一 順天堂大学医学部細菌学教室
6)“高度バンンコマイシン耐性MRSAの出現”平松 啓一 順天堂大学医学部細菌学教室
7)“多剤耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のバンコマイシン耐性機構“
黒田 誠・平松啓一 順天堂大学医学部細菌学教室
8)“新規ケトライド系抗菌薬の細菌学的検討” 井上松久 北里大学医学部微生物学
9)“生体膜で働くプロトン駆動のナノマシン【組織化と機能領域】”野地博行 大阪大学産業科学研究所
10)“F1モーターはどうやってATPのエネルギーをトルクに変換するか?”
野地博行 大阪大学産業科学研究所
11)“近代遺伝学の流れ”黒田行昭 裳華房
12)“抗生剤耐性獲得機構”Akimichi Tatsukawa 2005-11-19
13)“ラット灌流肝のエネルギー代謝に対するサルチル酸の影響”日児誌
14)“細菌のⅡ型トポイソメラーゼ阻害薬のスクリーニング法の開発と新規Ⅱ型
トポイソメラーゼ阻害薬の作用機序の解析” 小山田義博(博士論文)
15)“微生物学講義録” 前国立感染症研究所長 吉倉 廣
16)“キノロン系の作用機序と耐性機構研究の歴史” 平井敬二 杏林製薬株式会社 創薬研究本部
17) "糖尿病合併症の進展予測物質を同定" 小川 晋 東北大学大学院医学系研究科
18)Albert Szent-Gyorgyi, & Laszlo G. Egyuud (1968). Cancerostatic Action of Methylglyoxal. Science, 160 (3832), P1140.
19) Albert Szent-gyorgyi (1977). The living state of Cancer. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 74, 2844-2847.
20) Atrott, J., & Henle, T. (2009). Methylglyoxal in Manuka Honey- Correlation with Antibacterial Propeties. Czech Jornal ofAgency Food science,27, 163-165
21) COT Secretariat Food Standards  Aviation House 125 Kingsway London
22) Dipa talukdar, Subhankar Ray, Sanjoy Das, Ashok Kumar Jain, Arvind Kulkarni, & Manju Ray (2006). Treatment of a number of cancer patients suffering from different types of malignancies by methylglyoxal-based formulation: a promising result. Cancer Therapy, 4, 205-222.
23) Joseph F. Borzelleca Toxicology & Pharmacology, Inc., 8718 September Drive, Richmond, VA 23229-7319, USA,
24) Miklos Peter Kalapos Methylglyoxal in mammals  Semmelweis University Medical School, First Institute of Biochemistry, Budapest, Hungary
25) Stephen a. Christensen (2008). Is Manuka Honey Safe? retrieved March 11, 2010, from http://naturalmedicine.suite101.com
26) Tan, D., Wang, Y., Lo, C. Y., and Ho, C. T. 2008a. Methylglyoxal: its presence and potential scavengers. Asia Pac.J Clin Nutr 17 Suppl 1, 261-264.
27) University of Waikato. (2009). The origin of methylglyoxal in New Zealand manuka honey. retrieved March 11, 2010, from http://www.sciencedirect.com
28) Wikipedia Foundation, Inc., (2008, March 24). Methylglyoxal pathway. retrieved March 11, 2010, from http://en.wikipedia.org/wiki/Methylglyoxal-pathway

TOPへ