ニュージーランドでは、国産のマヌカ蜂蜜が創傷感染などに優れた効果を発揮すると広く一般に知られており、国立ワイカト大学の蜂蜜研究家たちはその研究を1995年より続けてきております。
マヌカ蜂蜜はニュージーランド国内に自生するマヌカの木(学名:Leptospermum Scoparium)より採取されます。(最近、オーストラリア産蜂蜜の体系的な検査の結果、同様な性質をもった蜂蜜がオーストラリア国内数ヶ所に自生する Leptospermum Polygalifolium からも作られるということが発見されました。)
国立ワイカト大学の研究結果が各科学専門誌に発表されたこともあって、本大学の蜂蜜研究所に、活性マヌカ蜂蜜の何がそんなにすごいのかというご質問を多数お寄せいただきました。これらに関連する事実は以下の通りです。
もともと蜂蜜は、過酸化水素が主な要因で抗菌作用を持っています。過酸化水素は蜂蜜中のグルコース・オキシダーゼ酵素がゆっくりと変化する事によって形成されますが、その抗菌効力は千差万別です。
そのため、砂糖よりも抗菌性が低い蜂蜜もあるし、100倍に薄めても細菌の成長を止めるような蜂蜜もあります。こうした蜂蜜に見られる抗菌作用の違いは、蜂蜜によっては100倍以上も異なります。
「活性マヌカ蜂蜜」(及びオーストラリアの相当品)は販売されている蜂蜜のなかで抗菌作用が検査されている唯一のものです。レプトスペルマム(Leptospermum)属の植物(マヌカ木)から採取する蜂蜜に限り、過酸化水素の他にもう1つの抗菌成分が含まれ、これを「ユニーク・マヌカ・ファクター」(UMF)と呼んでいます。そして、これら2つの抗菌成分が相乗効果を持つ場合もあることが分かっています。
このUMFは、体細胞や血清中のカタラーゼ酵素による影響はありませんが、ほかの蜂蜜の主な抗菌成分である過酸化水素はこのカタラーゼ酵素によって破壊され易くなります。UMFを含んでいない蜂蜜が感染症治療などのために利用された場合、その抗菌作用はカタラーゼ酵素の影響で弱められる可能性が大いにあります。
蜂蜜中の過酸化水素を作り出す酵素は、熱や光にさらされると破壊されます。しかし、マヌカ蜂蜜のUMFは安定していて変化しませんので保存方法いかんで抗菌作用を失う心配はありません。
蜂蜜中の過酸化水素を作り出す酵素は、蜂蜜が薄められた時だけ活動します。しかし、UMFは濃い蜂蜜中でも活動し、感染した細胞の奥まで広がりながら強い抗菌作用を発揮します。
蜂蜜中の過酸化水素を作り出す酵素は、反応するのに酸素を必要としますので、包帯の下や創腔など酸素量が少ないところでは作用しない場合があります。一方、UMFを含有する蜂蜜はどのような状況下でも有効です。
蜂蜜中の過酸化水素を作り出す酵素は、蜂蜜の酸性度が体液によって中和された時のみ活動しますが、その中和された蜂蜜は体液によって薄まってしまい結果的に抗菌作用が弱まります。
蜂蜜中の過酸化水素を作り出す酵素は、蜂蜜の酸性度が体液によって中和された時のみ活動しますが、その中和された蜂蜜は体液によって薄まってしまい結果的に抗菌作用が弱まります。
蜂蜜中の過酸化水素を作り出す酵素は、創傷分泌液中のタンパク質消化酵素によって破壊されることにより抗菌力が弱まります。
UMFは他の蜂蜜のように過酸化水素を作り出すための酸素を必要としない事から皮膚細胞の深部まで拡散し抗菌作用を及ぼします。
UMFを含有する蜂蜜は、過酸化水素だけを含有するものより、ある種の細菌に対して、より効果的です。例えばUMFを含有する活性マヌカ蜂蜜は、ほかのものに比べて、およそ2倍ほど大腸菌や黄色ブドウ球菌(創傷感染を引き起こす代表的な細菌)に対して効果があります。
活性マヌカ蜂蜜は多くの医療専門家よって利用されており、標準の治療法では治癒しない創傷の患者などに成果をあげています。こうした皮膚潰瘍に対する活性マヌカ蜂蜜の成功例がニュージーランドの医学専門誌上で発表されました。
また、オーストラリアのブリズベンにある総合病院の医療スタッフは、UMFが含まれていない蜂蜜では治癒しなかった患者に対し活性マヌカ蜂蜜を創傷の膏薬として、使用したということです。同様に、その他の病院の臨床医師たちは、通常の蜂蜜の使用をやめ、高レベルのUMFを持つマヌカ蜂蜜に変えることにより治癒率が高まったと指摘しています。
これらの臨床的に得られた成果だけでは、活性マヌカ蜂蜜がほかの蜂蜜よりも効果的だという充分な証明にはなりません。それを証明するには比較臨床実験が必要です。しかし、高レベルのUMFを持つ活性マヌカ蜂蜜を創傷感染の手当てに使うというのには十分な理論的根拠があります。
蜂蜜の抗菌作用の効力を査定するために、私、ピーター モーランはそのテスト方法とUMF番号を考案いたしました。UMF番号とは蜂蜜の抗菌作用の標準実験を基に求められます。それは標準的な生体消毒薬フェノール(フェノールは石炭酸とも呼ばれる)の抗菌効力との比較によって蜂蜜の効力が参照されます。
例えば、UMF等級4の蜂蜜は石炭酸消毒薬として使われる4%フェノール溶液の消毒効力に相当し、またUMF等級10の蜂蜜は10%フェノール溶液と同等ということです。
ニュージーランドの医療専門家はUMF10かそれ以上の等級の活性マヌカ蜂蜜を使用しています。低レベルの活性度でもよい結果が得られるでしょうが、感染症を完治させるのに十分ではない場合もあります。また、低レベル活性度の蜂蜜では、抗菌性要素が感染症を起こした細胞組織まで多量に広がるようなことはありません。これは、奥深くの細胞組織で感染症が発生した場合、効果的な結果が得らないことを意味します。
未加工の自然製品を創傷治療に使うことによって逆に感染症に掛かりはしないかという心配をなくすため、蜂蜜にガンマ線照射をして消毒することができますが、これによって抗菌作用が失われる事はありません。活性マヌカ蜂蜜とオーストラリアのレプトスペルマム系蜂蜜は商業的にこの方法で消毒することができます。
以上はワイカト大学生物化学研究所ハニーリサーチセンターの一部翻訳ですが、特筆すべき事に今まで謎とされていたマヌカハニー特有の抗菌活性物質がメチルグリオキサールであることが近年ドイツの研究機関によって発見されました。その強い抗菌活性・抗癌作用などが大きく期待され、今後、このハチミツの広域な展望が急激に開け大いに注目されています。そして、このハチミツの特異要素がメチルグリオキサールであることが確認されたことによってハチミツ中のメチルグリオキサール含有量測定からそれぞれの製品が従来とは比較にならないほどの精度で、抗菌、抗ウィルス、抗癌活性度を知ることが出来るようになりました。
(翻訳、文責:辻 岳)
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